こんにちは。
奈良漢方薬局の奈良です。
週刊新潮の漢方について特集記事の考察もこれで最後になります。
以前の記事はこちら↓
現在の医療機関での使い方が間違っていることは以前の記事で述べたとおりです。
本来、患者さんの体質に合わせて使うべきところを、
今の医療機関のほとんどが体質ではなく、症状をみて使っています。
風邪の初期では葛根湯。
鼻水、鼻づまりには小青竜湯
といった具合です。
ただし、これは漢方を医療機関で使おうと思ったら仕方のないことと思います。
以前のブログでも紹介しました葛根湯の説明ですが、
東洋医学の本来の使い方では、
「太陽病、項背強几几、汗無、悪風、葛根湯主之」
訳:太陽病(たいようびょう)で項背(こうはい)強ばること几几(きき)として汗無く悪風(おふう)するは葛根湯、之を主(つかさど)る
となっています。
しかし、この説明を広めたところで、一体どんな医師が葛根湯を使いこなせるでしょうか。
全く、どういった患者さんに使えばいいのか見当もつかないのではないでしょうか。
さらに、知識があったとしても、
患者さんが「太陽病」であることを確認するには、
患者さんのいろんな症状を確認しないといけません。
診察3分、待ち時間3時間と揶揄されているような大病院の現状で、
漢方薬を正しく使うことは不可能と思えます。
一方、
これはツムラの葛根湯の使い方の説明です。
自然発汗がなく頭痛、発熱、悪寒、肩こり等を伴う比較的体力のあるものの次の諸症
感冒、鼻かぜ、熱性疾患の初期、炎症性疾患(結膜炎、角膜炎、中耳炎、扁桃腺炎、乳腺炎、リンパ腺炎)、肩こり、上半身の神経痛、じんましん
これなら
どんな患者さんに使えばいいか判断つきますよね。
誤った使い方ですが、
有名は漢方薬は守備範囲の広いものが多いので
少々、的を外していても良くなる場合も多いのです。
これによって、多くの医師が漢方を使えるようになったのです。
(問題は“自然発汗がなく頭痛、発熱、悪寒、肩こり等を伴う比較的体力のあるもの”
これが守られていないことです。しかしそれは、ツムラの責任ではありません)
現在のツムラが広めた方法は
医療機関で漢方を使うための苦肉の策だったのではないでしょうか。
もちろん、株式会社ですので利益を追求した結果ではあるでしょう。
しかし、漢方が普及したことで、
漢方が身近になったことで、
救われた患者さんも多くいたのではないでしょうか。
そして、使ってみることで
多くの医師が漢方を用いて、漢方の力を実感でき、
「漢方なんて気休めだ」
「漢方はただのプラセボ効果」
という医師が減ったと思います。
しかし、いいことばかりではありません。
間違った使い方で良くなる場合も多いと書きましたが、
外れる場合も多いのです。
そして、自分に合ってない漢方を延々と飲み続けてしまうことがあります。
それゆえに、
「漢方の効果は弱い」とか、
「漢方は長く飲まないと効果がない」
と間違った印象をもつ人が増えてしまいました。
これは漢方薬剤師として悲しいことです。
副作用に関しては依然記述したとおりです。
まとめますと、
「ツムラが医療の現場に漢方を広めてくれたおかげで、
漢方が身近になった反面、その弊害も出ている」
というところではないかと。
あと、よくツムラが漢方薬のエキス剤を開発したと勘違いされている方がいますが、
日本で初めて漢方薬のエキス製剤を製造販売したのは
小太郎漢方製薬という製薬会社です。
奈良漢方薬局ではエキス製剤は小太郎製薬のものを多く採用しています。
最後に、今回の件で
ツムラがホームページに
とお知らせが載っています。
以下、全文です。
漢方製剤等における副作用について
当社が加盟しております日本漢方生薬製剤協会のホームページに、「漢方製剤等における副作用について」の取り組み状況が掲載されておりますので、お知らせいたします。
(日本漢方生薬製剤協会のページにリンクします)
ガッカリしました。
今回の件で、漢方をご利用の方に大きな不安を与えています。
社長の言葉で、
せめて広報でも、自分たちの言葉で説明するべきところではないでしょうか?
やましい事がないのなら、
真っ向から週刊新潮に反論して欲しかったです。
今後の対応に期待します。
恐れ多くも3位になりました
↓↓
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