風邪の漢方のお話。
今回は4回目です。
前回までの記事はこちら
思ったより長くなりましたが今回が最終回です。
風邪の治療は漢方の得意分野③で風邪のときにつかう漢方薬を説明しました。
しかし、これらの漢方薬が適さない場合もあります。
人によっては風邪に対する抵抗力が弱い人がいます。
一度、風邪をひいたらなかなか治らず、長期化してしまう人。
しょっちゅう風邪をひいてしまうひと。
そういった人の風邪の漢方薬は注意が必要です。
風邪で良く使われる漢方薬は、
自身の免疫力を補佐するように働くものがほとんどです。
身体の中に入ってきた邪気(病気の原因)を追い出す力を漢方薬が一時的に増幅させて、
病気をやっつける仕組みです。
しかし、邪気を追い出す力がもともと弱かったりすると、
漢方薬を使っても十分に力を発揮できません。
それどころか、気力を消耗させてしまうこともあります。
漢方薬の用法で、「体力のある人で」とあったり、
または「体の虚弱な人(体力の衰えている人,体の弱い人)」は医師または薬剤師に相談するようにと注意書きがあったりするのはこのためです。
いわゆる漢方で言う「虚証(きょしょう)」というのですが、
このような場合は、「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」や「人参養栄湯(にんじんようえいとう)」のような気力を補う漢方薬(補気剤)を使います。
長く風邪が続いた時も、
気力が消耗してしまっていることが多いので、
この補気剤を使います。
私は風邪の場合はそこまで体質を重視しなくてもいいと考えていますが、
体質をみることが大切なケースも少なからずあります。
奈良漢方薬局では、漢方相談の際には3ページにわたる漢方問診票を書いてもらっています。
これは体質を把握するためにとても重要なことなのですが、
風邪や腹痛などの急性疾患の場合は連絡先や住所確認などの簡単な問診で済ませます。
理由は、風邪などではそこまで体質を重要視していないことと、
早く家に帰って休みたいであろうつらいときにじっくりと話を聞いていられないことなどが挙げられます。
だからと言って、体質をまったく無視することはありません。
私たち漢方の専門家は、
しゃべり方、顔色、足取り、話し方、肌つや、舌の色形などで大まかな体質を判断しているのです。
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