風邪の漢方のお話。
今回は3回目です。
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具体的な漢方薬の使用例を紹介させていただきます。
まず、風邪の初期に使う漢方薬です。
風邪かな?くらいの状態です。
漢方では「太陽病」という言葉を使います。
風邪の原因となる「邪気」は体の表面(表)から浸入し、
体の内部(裏)へ向かって進行します。
太陽病は邪気が体の表面にある状態を指し、
頭痛、悪寒、発熱、項背部痛などの症状があります。
治療としては汗を出させて邪気を追い払うことが基本となります。
この段階で使用する漢方薬で有名なものは葛根湯です。
悪寒の症状が強い場合には麻黄湯を用います。
体がもともと弱く邪気を追い出す力が弱い、
あるいは汗がすでに出ているようなら発刊作用の弱い桂枝湯を用います。
鼻水が出るなど体に水が溜まっているようなら小青竜湯を用います。
悪寒がなく、むしろ身体が熱く感じるようなら銀翹散がいいでしょう。
次に風邪が進行すると邪気が内部に侵入します。
この段階を漢方では「少陽病」と呼びます。
邪気の位置を示す用語で「半表半裏」と言ったりします。
往来寒熱(寒気と発熱が交互にくる)、
胸脇苦満(脇の下あたりの張った痛み)、
口苦、口乾、はき気、食欲不振などの上半身の症状が出てきます。
この段階で使用する漢方薬で有名なものは小柴胡湯です。
基本的にはこの小柴胡湯にさらに漢方薬を組み合わせて使います。
吐き気が強い場合は小柴胡湯に五苓散を足した柴苓湯。
胸がつかえるような感じがあれば小柴胡湯に半夏厚朴湯を加えた柴朴湯などです。
太陽病と少陽病の中間くらいで使用する漢方薬もあります。
それが、小柴胡湯と葛根湯を組み合わせた「柴葛解肌湯(さいかつげきとう)」と、
小柴胡湯と桂枝湯を組み合わせた「柴胡桂枝湯」です。
このふたつの漢方薬は使いやすく、
特に柴胡桂枝湯は良く使用しています。
(つづく)
思ったより長くなってしまいました。
次回で最後です。
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