Web予約

漢方

漢方薬の副作用について

 

先週から 週刊新潮で漢方の特集が組まれています。

私も、昨日漢方の勉強会で知りました。

週刊新潮は以前から、

医療業界の副作用について、

無駄に不安を煽るような記事を書くので、正直

「またかよ」

と思った次第であります。

 

9/21号は読みましたが、

先週号はネットで出回っている情報のみで、

まだ、全文読んでいないため、

記事の真偽含め詳しいコメントは控えさせていただきます。

 

 

今回は中で、気になった点について。

「小柴胡湯」の死亡例についてです。

要約すると

・小柴胡湯の副作用で死亡例がでている

・この死亡数は異常

・小柴胡湯に入っている黄苓が原因

・この黄苓は多くの漢方薬に含まれている

 

「41名の命を奪った」

 

この結果は残念ながら事実です。

ですが、

小柴胡湯が重篤な副作用が出やすい薬とするのは間違いです。

 

私たち薬剤師は大学の授業で

漢方にも副作用があると教わります。

その代表例が「小柴胡湯」でした。

当時、

「漢方薬には怖い副作用もあるんだな」

と「小柴胡湯」は副作用に注意!!とインプットされたものです。

 

漢方薬剤師となった今では、

怖いのは「小柴胡湯」ではないと知っています。

問題は、患者の体質も見ないで、

とりあえずで小柴胡湯を出す使い方にあるのです。

(この点については週刊新潮に同意します)

例えば私が小柴胡湯を使うのであれば

  1. 胸脇苦満(胸内が何か詰まったような苦しさ、肋骨の下を手で押すと痛みを感じる) 
  2. 口苦(口の中が苦い)
  3. 口渇(口の中が乾く)
  4. 食欲不振
  5. 舌微白苔(舌の状態のひとつ)

この5つくらいは確認します。

全部が当てはまる必要はないですが、

これらの症状がみられたら、

小柴胡湯は肝炎に限らず、幅広く使用できます。

子供の喘息にだって使えます。

一方、これらが一つも当てはまらないとなると、

まず「小柴胡湯」を含む「柴胡剤(柴胡と黄苓の組み合わせを主薬とする漢方薬の総称)」は使いません。

そもそも、小柴胡湯を慢性肝炎で使う専門家の方が少ないのではないでしょうか?

 

 

しかし当時は、

肝炎の「インターフェロン」という薬が効果なかったら(もしくは最初から同時に)

とりあえず、小柴胡湯が処方されていました。

そういったときに、副作用による間質性肺炎の死亡事故が発覚したのです。

 

週刊新潮で掲載されていることには

こういった背景があります。

他にもいろいろ副作用について書かれていましたが、

結局のところ、

使い方が悪いと漢方でも副作用がでるということですよね。

 

正しい使い方をすれば、

漢方は100%安全かというと、

私は100%とは言い切れません。

漢方薬は、病気を治す効果がある薬である以上、

副作用は少なからずあると思います。

ただし、

使い方を間違えず、

きちんと患者さんの変化に気を配っていれば

漢方薬による薬害は防げると考えています。

 

漢方薬はやっぱり、

漢方の知識のあるところでもらったほうがいいですよってことです。

 

 

病院でよく出ている漢方は

結構、守備範囲の広いものが多いので、

当てずっぽうでも、

当たることがよくあるんですけどね(;^_^A

 

最後に、

ツムラが出している小柴胡湯のデータには

2459例中、副作用発現症例数は69件(2.77%)、

間質性肺炎の副作用は1件(0.041%)とあります。

 

小柴胡湯の副作用の発現率3%という数値は、

ずば抜けて低くはないです。

 

ちなみに、

日本人が大好きな痛み止めの「ロキソニン」で

13486例中、副作用発現症例数は409件(3.03%)です。

 

 

一方、間質性肺炎についてですが、

小柴胡湯と同じく肝炎で使用される

中外製薬のインターフェロン製剤「ペガシス」は

2382例中、副作用発現症例数は1560件(65.5%)、

間質性肺炎の副作用は13件(0.545%)でした。

 

他に間質性肺炎の副作用があるとされる、

サノフィの不整脈の治療薬「アンカロン」は

1352例中、副作用発現症例数は619件(45.8%)、

間質性肺炎の副作用は24件(1.775%)でした。

これらは副作用が多い部類の医薬品です。

 

これらと比較すると、

小柴胡湯の間質性肺炎の発現率は低いと言えます。

 

 

 

これら4種類のデータは単純に比較はできませんが、

参考にはなります。

週刊誌などは

不安を煽るなら

しっかりを数値で出してほしいです。

41人副作用で死んだ

って言っても、小柴胡湯を飲んでいた人が

全部で1000人いたのか、

100万人いたのかでは全く違いますので。(実際100万人以上と言われている)

 

また、インターフェロンと一緒に使っていたか、

小柴胡湯単独だったかでも違いますので。(実際インターフェロンとの併用が多く含まれている)

 

 

以上、

私の個人的な感想です。

漢方の話になると熱く語ってしまいます。

ついついこんなに長い大作になってしまいました。

ここまで、

読んでいただきありがとうございました。

 

にほんブログ村 健康ブログ 漢方へ
にほんブログ村

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。